X PRIZE 財団によるエコカーコンテストのグランプリ作品が決まる

 民間企業による月面探査ロボットコンテストやメキシコ湾岸の流出原油除去アイデアコンテストなど、ユニークなコンテストを主催することで知られる非営利団体「X PRIZE 財団」が実施していたエコカーコンテスト「Automotive X PRIZE」の最優秀作品が16日決定した。

 このコンテストは、アメリカの安全基準および排ガス基準をクリアしながらガソリン燃費換算で100MPG (42.5km/L)以上の性能を実現する自動車で、さらに他の市販車と同様の拡張性を持ち、コストパフォーマンスに優れ、2014年までに年間10,000台以上の生産計画で実際に販売が開始できるプランという非常に厳しいレギュレーションのもとで行われ、合計136の自動車開発チームが参加し約30ヶ月をかけて選考が行われた結果、3台がグランプリに選ばれ賞金の1000万ドル(約9億円)を分け合った。

グランプリに選ばれた車は次の通り:

チーム:Edison2 (アメリカ)
車:Very Light Car #98 号
燃費: 43.5km/L
燃料:バイオエタノール燃料 E85(エタノール85%/ガソリン15%混合)
 

 
軽量化に徹底的にこだわり約370kgという超軽量の車体重量を実現している点が高く評価された。市販化の際には自動車重量税の節税効果も大きく、二酸化炭素排出量の少ないバイオエタノール燃料で環境にも貢献できる車として期待できる。

チーム:Li-ion Motors Corp (アメリカ)
車:Wave II 号
燃費: 79.5km/L(ガソリン燃費換算)
燃料: 電気
 

 
車体素材にアルミニウムを採用し、リチウムイオンバッテリーを搭載しながら約980kgという電気自動車では最軽量レベルの車体重量を実現、79.5km/Lという燃費の良さと、0-60マイル(約100km)加速で14.7秒と高いパフォーマンスを両立している点が評価された。

チーム: X-Tracer Team Switzerland (スイス)
車:E-Tracer #79 号
燃費: 87.3km/L(ガソリン燃費換算)
燃料: 電気
 

 
2輪タイプのエコカーで、低速走行時にはサイドに補助輪が出てバランスが取れるようにデザインされている。車体重量は約650kg。0-60マイル(約100km)加速6.6秒とスポーツカー並みのパフォーマンスながら燃費は87.3km/Lを実現、現行のビッグスクーターに取って代わる存在になるかもしれない。

 今回グランプリに選ばれたチームはこれからアメリカの工業・エネルギー業界の専門家の支援を受けながら販売に向けて具体的な開発および生産体制の構築に入るとのことで、数年のうちに実際に販売が開始されると見られている。

 今回は日本のチームが選ばれていないのは少し残念ではあるが、これらのエコカーが数年後にどのようなかたちでお目見えするのか楽しみにしたい。

Automotive X PRIZE : Progressive Insurance Automotive XPRIZE
参加チーム:XPRIZE
情報ソース:Three wicked cool car teams split $10M X Prize for advanced, fuel efficient vehicles