スーパーマリオで人工知能プログラムの腕を競うコンテスト- 2010 Mario AI Championship -

 コンピューターが自ら考え、学習し、そして目の前の新たな局面を打開していく人工知能(Artificial Intelligence, AI)は、昔からゲームなどを題材にして盛んに研究が行われてきました。こういった研究の成果によって、最近では格闘ゲームやレースゲームなどのNPCも、より人間らしいリアルな動きを見せるようになってきています。

 この人工知能について、誰もが知っている任天堂の人気アクションゲーム「スーパーマリオ」を題材にして、プログラムの腕を競うという一風変わったコンテスト、その名も「2010 Mario AI Championship」が開かれています。

 この大会は、コペンハーゲンIT大学の助教Julian Togelius さんが中心になって開催しているもので、参加者は、公式サイトからダウンロードできる「MarioAI Benchmark」という開発キットで、JavaベースのオリジナルのAIプログラムを設計します。そのプログラムを、改造マリオで有名な「Infinite Mario Bros!」のコース上で走らせ、クリアタイム、コイン獲得率、敵キャラの撃破率などから算出されるトータルスコアを競います。

 Infinite Mario Bros!では、一定の難易度でランダムにステージが生成されるため、あらかじめ特定のステージの構造専用にアルゴリズムを組むことはできず、人工知能が自ら与えられた能力を活かして、目の前に迫る局面を打開しながらステージのゴールを目指すことになります。

↓昨年の優勝作品。マリオの進行方向にジャンプ軌道をシミュレートしたセンサーを張って、軌道上に障害物が反応した場合は適切な対応をするようにプログラムが組まれているようです。注:人間ではなくAIがランダムステージをぶっつけ本番でプレイしています!

 今年の大会は、特定の難易度のステージで局面打開の見事さを競うゲームプレイ部門、難易度が高くなるにつれてのAIのスムーズな学習能力を競うラーニング部門、そしてInfinite Mario Bros!のステージ生成機能のデザインを競うレベル生成部門の3部門で競技が行われるとのことです。

 また、今年は既に4月8日に、トルコ・イスタンブールで第1回が開催されており、ゲームプレイ部門で634,468ポイントをたたき出した Robin Baumgarten さんが優勝しています。この後、7月20日スペイン・バルセロナで、8月20日デンマークコペンハーゲンでそれぞれ開催が予定されています。

 AIにマリオのステージをクリアさせる、というか、パックンフラワーの動きを見ながら土管を飛び越えさせることすら難しいと思えるのですが、このコンテストでどんな優秀なAIが考え出されるのか楽しみです。

2010 Mario AI Championship 公式サイト : http://www.marioai.org/