チェスの元世界チャンピオンの残した遺産をめぐって遺体のDNA鑑定命令 -アイスランド最高裁-

 アメリカ・シカゴ生まれの伝説のチェスプレイヤーで、2008年に腎不全を患い64歳で死去したボビー・フィッシャー(Bobby Fischer)氏が残した約130万ユーロ(1億5千万円相当)の遺産の相続権を巡って、現在の相続人である日本チェス協会事務局長の渡井美代子さん(※)と、フィッシャー氏の実子であると主張しているフィリピン人女性とその母親が争っている問題で、アイスランド最高裁判所はフィッシャー氏が埋葬されている墓場から死体を掘り起こしてDNA鑑定を行った上で、フィッシャー氏とフィリピン人女性の親子関係を明らかにするよう医療機関に命じた。

※2008年にフィッシャー氏がかねてより親交の深かった渡井さんとの結婚を宣言。ただし入籍はしていない。(写真左:フィッシャー氏 写真右:渡井さん)

 このフィリピン人女性は、フィッシャー氏から「Daddy」のサイン入りで送られた手紙や贈り物を証拠に実子であることを主張しており、親子関係が認められた場合はフィッシャー氏が市民権を持つアイスランドの法律に則って全体の遺産全体の2/3を相続する権利が認められることになる。

↓「チェスは盤上の戦争だ。目的はただひとつ、相手の心を徹底的に破壊することだ」との名言を残し、チェスの対戦中も相手が悩み苦しむ様子を楽しんでいた同氏だが、天国からこの遺産相続の争いをどのように見ているのだろうか。

 晩年は、政治的発言問題などで日本を含めた世界各地を転々とし「放浪のチェス王者」と呼ばれたボビー・フィッシャー氏。彼が人生の旅の最後に残したこの遺産相続問題が今回のDNA鑑定でいよいよチェックメイトを迎えるのか、世界から注目が集まっている。

情報ソース:Bobby Fischer's body to be exhumed as former lovers battle over £1.3m estate | Daily Mail Online