ネット版オレオレ詐欺にご用心 -Facebookでアカウント盗難被害が急増-

 「ロンドンでパスポートを盗まれて身動きが取れないの!誰か助けて!」

 去年の夏、Eileen SheldonさんのFacebookのフレンドリストに登録されている20人の友人は、このような緊急メッセージをSheldonさんのアカウントから受信した。ちょうど数日前に、Sheldonさんがロンドンに向けて飛び立ったという日記がFacebookに書かれていたこともあり、心配したひとりの友人がメールに書かれてあった振込先に100ドルを送金した。

 実はこれ、最近急増しているFacebookの盗難アカウントによるネット版オレオレ詐欺のひとつのパターンだ。

 従来の電話によるオレオレ詐欺の場合、犯人側は名前や年齢、家族構成などのごく限られた情報から被害者の人物像を推測するしかなかったが、Facebookなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の場合は、個人情報はもちろんのこと、友人とのプライベートのイベントや写真、個人の最近の悩みや出来事など、本人の人物像を特定しやすい情報が登録されており、よりリアルなかたちで本人になりすますことができるため、普段からこの手の詐欺犯罪に気をつけている人であってもうっかり騙されてしまうことが多いという。

しゃべりの口調から詐欺とわかりやすい電話よりも、よりリアルな事情で切実に訴えるメッセージでの詐欺のほうが実は騙されやすいのかもしれない。

 インターネットセキュリティサービスを提供するVeriSign社のiDefenseグループの調査では、現在150万以上のFacebookアカウントが盗難被害にあっており、東アジアの闇マーケットなどで1000アカウントあたり数十ドルの価格で取引されているという。

 これらのアカウントは、犯罪に使われてはじめて盗難されていたことを知ったというケースも少なくないため、普段からパスワード情報を定期的に変更したり、たとえ自分しかアクセスできないページであってもクレジットカードやパスワードなどの重要な情報などは登録しないなど、個人個人のセキュリティ対策で、自分のアカウントが犯罪に使われるのを未然に防ぐことが重要といえそうだ。

情報ソース:For Sale: Fake and Stolen Facebook Accounts - The New York Times