オンラインゲーム依存症への特効薬となるか?韓国で行われるオンラインゲーム規制への試み

韓国・文化体育観光部はこのたび、若い世代を中心にひろがるオンラインゲーム依存症への対策として、新しく2つの法律を施行することを発表した。

ひとつめは「深夜帯の回線切断」で、未成年のゲームユーザーに対して、ある時刻になった瞬間にゲームへのアクセスを切断するというもの。回線切断の時間帯は、深夜12時〜翌朝6時、1時〜7時、2時〜8時の間からユーザーが選択できるようになっている。この措置は「メイプルストーリー」や「マビノギ」といった韓国でも人気のあるオンラインゲームタイトルで実施される。

ふたつめは「回線スピード制限」で、一定量の時間を超えてゲームをプレイしているユーザーには、強制的にインターネット回線が絞られ通信速度が極端に低下する措置がとられる。回線スピード制限措置は、現在「ダンジョンファイター」や「ドラゴンネスト」など人気のある4タイトルで現在試験運用が行われており、将来的に韓国のオンラインゲーム市場の約8割のシェアを占める合計19タイトルに対して実施される見込み。

文化体育観光部はあわせて、規制の対象となるユーザーが自分の親の個人情報でアカウントを登録し、これらの規制を回避するのを防ぐための措置についても近日中に講じることを発表した。

ただ、今回の施行では韓国で人気のMMORPGリネージュ」が規制対象から外れるなど、一部のオンラインゲームメーカーからは法律の不備を指摘する声もあがっている。

韓国では、1日中休憩もせずにオンラインゲームをプレイしていた人が突然死したり、パソコン部屋に引きこもった両親が子供を餓死させるなど、オンラインゲームに関わる死亡事故が相次いでおり、国内でも法的規制の実施を求める声があがっていた。今回の法律はそうした世論を受けての施行と言えそうだ。

記事原文:
http://www.koreaherald.co.kr/national/Detail.jsp?newsMLId=20100412000752

金さえ儲かりゃそれでいいのか!!ダウンロードコンテンツに依存し始めたゲームメーカーたち

ゲームの楽しみといえば本編を遊びつくすこともそうですが、特定の難易度をクリアすることで出現するステージや、ある条件を満たすことで手に入る特殊アイテムなどといったいわゆる隠し要素を見つけていくのも楽しいものです。
昔はスーパーマリオの1-1でポールを飛び越えると裏世界へ行けるなんて噂がまことしやかに語られていたものでした。

そんな隠し要素を見つけ出してフラグを立てていくことをアンロックするとも言いますが、最近ではそういったアンロックのためのコードや、ゲームアイテムなどの追加コンテンツを有料にしてインターネットを通じて販売を行う、いわゆるダウンロードコンテンツ方式を採用するゲームメーカーも多くなり、日本でもアイドル育成シミュレーションゲームである「アイドルマスター」のダウンロードコンテンツがパッケージの売り上げを超えるなど、ブームを超えてゲーム販売方法のひとつとして定着しつつあります。

日本市場では元々早い時期より、オンラインゲームなど基本プレイ料金を無料としてユーザーを集め一部の熱心なファンに有料でゲーム内のアイテムなどを販売する、いわゆるアイテム課金タイプのゲームが数多くサービスされてきたこともあってか、こういったダウンロードコンテンツの展開に一定の理解を示すユーザーも多いようですが、逆に欧米市場では、コンソールゲーム(WiiPS3)はゲームディスクにお金を払い内容の全てを買い取るもの、オンラインゲームは月額料金で一定の金額を支払いながら遊ぶものという認識がまだまだ強く、依然として大手ゲームメーカーのダウンロードコンテンツ参入の動きに批判的な意見が多いようです。

欧米系ゲームメディアの DAMNLAG にて、ライターの Josh "Genki" Michaelson さんによる「Developers and their DLC milking(ゲーム開発者によるダウンロードコンテンツを利用した搾取の構造)」という興味深いコラムが投稿されていましたのでご紹介します。

原文はこちら:
http://www.damnlag.com/articles/columns/788-developers-and-their-dlc-milking.html

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いやもうここ最近のダウンロードコンテンツ(以下DLC)の氾濫には本当にうんざりさせられる。中にはゲームプレイの根幹を成すコンテンツや出荷時に絶対に実装されておかなければならないだろう内容までDLCとして販売される始末。Bioware のアクションゲーム Mass Effect 2 なんて、宣伝用のでっかいバナーに堂々と「ダウンロードコンテンツ対応!」なんて書いちゃってる有様。
どうやらここ5年の間にゲームメーカーはゆっくりではあるが着実に狂気の強欲・金儲け主義への道を歩んでいっているように思えてならない。

自分の記憶の中での最初のDLCと言えば2006年に販売されたオブリビオンの馬鎧キットだった。今となってはあれが昨今のDLCを取り巻く悲惨な状況のきっかけになったかどうかはわからないが、ある意味ひとつのターニングポイントであったように思える。

このオブリビオンの馬鎧キットの販売を見た他のゲームメーカーたちが「ゲームを製品版として売った後にさらなる儲けを生み出す」というこのDLCという錬金術に気が付くのもそう長くはかからなかった。特にバンダイナムコは、自社ブランドのゲームに“Disc-Locked Content”(※)を仕込み搾取のかぎりを行った。

※製品版リリース時点でゲームディスクの中にロックされた隠し要素が既に盛り込まれており、後でお金を払ってロック解除のコードを購入するという方式。


(ある日のバンダイナムコの役員会議はこんな感じにちがいない)

「おい!ジム!すごいアイデアを思いついたんだよ!」
「まじで?」
「うん、今度の「ビューティフル塊魂」なんだけど、製品版を売ったあとでさらに隠し要素をアンロックできるキーを有料で売ってみたらどうかな?」
「ボブ・・・お前はなんてやつだ!それだ!それでいこう!」

この流れはもう悪い方向へと進みだしている。誰もそれを止めることはできない。

例えば最近発売されたサバイバルホラーアクションゲームの Bioshock 2DLCを利用しないプレイヤーも、DLCでアイテムを購入したプレイヤーと一緒に協力プレイすることでゲームの攻略が可能って・・・もうわけがわからん。
プレイヤーは60ドルも払ってこのクソゲーを購入しているのに、さらに追加料金を支払わなければゲームディスクに入っている全ての機能を利用できないとは・・・。

さらにこの汚い商法で他のゲームメーカーの追随を許さないのがカプコンだ。
まずひとつめは Street Fighter 4。ゲームディスクは60ドル、限定のお粗末なフィギュア同梱版は80ドルとなっている。その上で、カプコンはゲームに登場するキャラクターのコスチュームを有料DLCとして販売しているのだ。しかもお気に入りのキャラクターのコスチュームだけを選んで買うという選択肢は許されず、プレイヤーは必然的に全てのキャラクターのコスチュームをセットで20ドルで買わされるという仕組み。

これは単純に「じゃあ買わなければいいだけの話」ということではなく、カプコンというゲームメーカーが、キャラクターのコスチュームといったものを無料で提供しなかったという事実、そして有料にするにしてもお気に入りのコスチュームを1つ10円程度で発売するというならまだしも、強制的に全キャラクター分を押し売りのように販売しているということが重要なのである。

ふたつめはロックマンシリーズ。ロックマンは9も10もDLCを採用しており、その内容から見ればあきらかに製品版をリリースした段階でこれらのコンテンツは用意されていたはずだ。なぜ製品版に盛り込まなかったのか?
これはもう明らかに金儲け主義の酷く汚いやりかたと言わざるを得ない。これまで、時にはプレイヤーをあっと驚かせるようなステキな仕掛けを無料で提供してくれていたカプコンが、まるで手のひらを返したようにロックマンのフォルテのアンロックやSF4のキャラクターを彩るコスチュームを有料で提供し始めたのだ。

バイオハザード5DLCも忘れることができない。いったい誰があの酷い出来の「VERSUS」モードを金を払ってまで遊びたいと思うのか?バイオハザードのゲームシステムから見て明らかに無理のあるモードだからこそ製品版には盛り込まれなかったであろうものが、DLCという名のもとで堂々と再販されることになるとは・・・。まあバイオハザード5のゴールドエディション(オルタナティブエディション)のような売り方※は歓迎できるが、他のDLCの酷い状況がそれを台無しにしてしまっている。

※北米で販売されたエディションで新エピソードやコスチュームなどの追加コンテンツを無料でダウンロードできる権利が付いている。

と、ここまで書いてずいぶんカプコンの悪口を並べ立ててしまったように見えるが、私が言いたいのは、このようにして強欲な金儲け主義のゲームメーカーがどんどん増えてきているということなのだ。

かつて私たちがお金を払って手に入れてきたゲームソフトとは、プレイヤーが期待していた以上の遊びつくせないほどの面白さと仕掛けに満ち溢れたものであった。スーパーファミコンNBA JAM の隠しコマンドでビル・クリントンが出てきたときのあの感動。

もしあのゲームが今の時代に登場していたら、あの隠しキャラも「大統領拡張パック」としてダウンロードコンテンツになっていたに違いない。そのほうが絶対儲かるからだ。

このようなゲームメーカーの間に蔓延るDLCによる金儲け主義の中で、唯一正しいDLCのあり方を示しているのが RockBand であろう。(もちろん、ギターヒーローも同じようなものだが、あれはある意味シリーズ化しすぎてマンネリ気味になっている。)

RockBandでは、コンスタントに新しい楽曲がDLCとして発売される。もともとRockBand 本体自体にDLCを利用しなくても十分楽しめるほどの量の楽曲が収録されているし、それに加えて最新の新しい楽曲をゲームでプレイしてみたいというニーズにも応えていくというのは必然的な流れだろう。

だが、ここにすらDLCのえげつなさが垣間見られるのだ。特にRockBandのビートルズシリーズのやりかたは酷い。このシリーズは実に長い間、プレイヤーにDLCを買わせ続けるためにわざとビートルズの人気曲をラインアップから外してきた。そしてさらに酷いことにゲームをプレイするために楽曲を買い集めてたら、結局CDアルバムを買うより高くついてしまうことになるという事実。なぜ、DLC購入者にはMP3もダウンロードできるような合理的で良心的な手段を用意しなかったのか?

さて、ここまでずいぶんとDLCに手を染める腹黒い金儲け主義のゲームメーカーをあげてきたが、そもそもゲームメーカーが会社である以上、利益を追い求めるのは当たり前のことだし何も悪いことではない。

DLCは、このまで述べてきたような利益を追い求めるという企業の姿勢に影響を与えただけではなく、製品版には惜しみなくゲームコンテンツを詰め込んで世に送り出だすべきというゲーム制作の根本的な概念までもを捻じ曲げ、ゲームメーカーを極めて怠惰な世界へ引きずり込もうとしているのだ。

今や多くのゲームメーカーは発売予定日に製品版をリリースできるよう努力はするが、もし間に合わずに製品版に盛り込めないものが出てきたらそれをDLCとしてあとで追加リリースすればよいと考えるようになってしまった。さらに悪いことにはゲームの企画段階で何か面白いことを思いついたとしても、それを製品版には入れようとせずに後ほどDLCのお楽しみ要素として有料で提供するというように考えるようになってしまったということだ。

いくつかのゲームメーカーはこの意味において正しい方法でDLCを利用しているところもある。
最近では God of War 3 なんかがそうだ。このゲームでは製品版のリリース時にエンディングの実装が間に合わず、発売後に無料でDLCとしてエンディングを提供することをメーカーが発表した。
現在は物語のエンディングを楽しむことはできないが、ゲーム自体は普通に楽しんで遊べるし、何よりも彼らが正直にこのような社内事情をユーザーコミュニティに告白し、プレイヤーに負担を強いることなく無償で提供するというゲームメーカーとしての真摯な対応は評価されてしかるべきだと思う。

一方では Ubisoft のようなえげつないところもある。彼らは自身がリリースしたアクションゲーム「プリンス・オブ・ペルシャ(2008)」で製品版にエンディングを実装せずにリリースしDLCとしてエンディングムービーそのものを有料で提供している。

ゲームとしては何の意味も中身も無い単なるエンディングムービーを「エピローグ」として大げさな宣伝文句で販売し、まるでクリフハンガーエンディング(※)のように何かモヤモヤとした消化不足で後味の悪い気分を味わわせておいて、それを金を払って解消させようというやりかただ。まるで目の前にニンジンをぶら下げられて走り続ける馬のように無駄でばかばかしい仕組みだ。

※続きもののドラマの終盤やコマーシャル切り替え前にハラハラ・ドキドキした演出をもってきて、視聴者を釘付けにして引き続き視聴させるやりかた。

そして Ubisoft は、アサシン クリード II でも同じことをやってのけた。しかも今回はあからさまにゲームの途中にDLCを仕込んできた。彼らはなんと、ゲームのストーリーがいよいよ佳境に差し掛かるという場面の直前の内容を本編からカットしてしまったのだ。

カットされた数年間の間に主人公の身にいったい何がおこったのか、気になって夜も寝られないプレイヤーに対して、その真相はDLCで明らかに!とやるわけだ。なめてんのか?なぜ素直に製品版に実装しない?

まあこれがもし、ゲームの世界観への理解が深まるような本編に関係の無いサイドストーリーや、(ゲームアイテムやコスチュームなどの)単なるゲームコンテンツの追加であればDLCとして提供しても理解できるという人もいるだろうが、それでさえ、本来製品版に組み込んで隠し要素のボーナスミッションや何かで無料でファンに提供すればいいだけの話なのである。

このようなわけで、ゲーム業界を取り巻く環境は悲しいかな刻々と悪化の一途をたどっており、今や次から次へとゲームメーカーがDLCをリリースし、自分たちのゲームタイトルの製品そのものの売上げよりもDLCからの売上げに依存するようになってきている。

ゲームのエンディングを見るためだけに金を払うのが当たり前になるのも、もはや時間の問題だろう。いつのまにかこんなにセコくなってしまったゲーム業界の未来を思うと、なんだか泣けてくるのである。