700万円を投資してゲームデザインの学士号を取得するも仕事が無くストリップで食いつなぐしかないという現実

 幼いころよりビデオゲームのデザインをして生計を立てることを夢見ていたCarrianne Howardさん(26)は、自分の夢を実現するために7万ドル(約700万円)の自己資金を投じて、ゲーム専攻で学士号が取れるアート・インスティテュート・フォート ローダーデール校に入学しました。
 しかし、苦労の末に卒業しゲームアート・デザインの学士号を取得した彼女を待ち受けていたのは厳しい現実でした。卒業後にやっとの思いで時給12ドルのゲーム会社でのアルバイトの仕事を得たものの(しかも彼女の資格とはまったく関係のない分野)その職場も1年後に不景気のあおりを受けて閉鎖、職を失った彼女は今フロリダのクラブでストリッパーとして働き生計を立てているそうです。

ゲームデザインの学士号を持ちながらストリッパーとして働くCarrianne Howardさん

 Howardさんが卒業したアート・インスティテュート・フォート ローダーデール校は、世界的に有名な投資銀行であるゴールドマン・サックス社が株式の38%を保有する親会社(Education Management Corp社)によって運営されるいわゆる株式会社立大学(For-profit college)です。
 このような大学は2000年頃から登場しはじめ、生徒への入学金の低金利ローン政策や、学校への補助金などの政府の後押しを受けて最近急激に数を増やしてきていますが、一方でサブプライムローン問題に端を発する世界金融危機の影響などで投資元の企業の業績が悪化する中、ゲームやファッションなど人気業界への就職に有利といった甘い宣伝文句で生徒を集め、ろくな教育を施さずに入学金や授業料を徴収して利益を上げる学校も現れはじめ、アメリカ国内で社会問題となっています。

↓アート・インスティテュート・フォート ローダーデール校

 一方の大学側は今回の報道に対して、本校の卒業生の中にはジャーナリズムや文学などの優れた業績に与えられるピュリツァー賞を受賞した写真家や、テニス界のシングルス世界ランク2位のVenus Williams選手(2007年ファッションデザイン学士号取得)、有名テレビ局のプロデューサー、世界的に有名な5つ星レストランのトップシェフなど、世界中のあらゆるステージで活躍する人が大勢おり、卒業後に資格を活かして自分の好きな仕事につけるかどうかは本人の資質の問題だと説明しています。

 日本でも最近、ゲーム専門学校を卒業した後の就職先の問題やそこで学ぶ生徒のヤル気などの問題が取り沙汰されていますが、「やりたいこと」と「現実の仕事」を取り巻く問題はどこの国でも同じなのかもしれません。

情報ソース:Bloomberg - Are you a robot?